耳のきこえない人たちって、
補聴器でもつけていない限り
きこえない人とはわかりづらい。

わかりづらいからこそ、
人知れず苦労していることがたくさんある。

そういうことに改めて気づかせてくれたのが
今回取材させてもらった
「きこえないママ×まちプロジェクト」代表の
まつもとまつりさん。

取材記事はこちら。
45万人の聴覚障害者は不便だらけ!障害者差別解消法で変わる?

05

今年4月1日から、「障害者差別解消法」という
法律ができたのはご存知だろうか。

この法律の条文やガイドラインを読んでみて
「この法律ができて何か変わるのだろうか?」

と思ったのが最初。

これはぜひ当事者の声を聞いてみたいと思い、
かつての仕事仲間でもあるまつりさんにお願いして
取材させてもらった。

まつりさんは先天的な聴覚障害者だが、
相手の唇の動きが読めて
なおかつ普通におしゃべりもできるので
話をしていてなんら違和感がない。

けれど、ここまでできるようになるには
人知れずたくさんの苦労があったのだろうと思う。

ここには書ききれなかったエピソードとして、
たとえば、人身事故などで電車が来ない時
何が起こっているかがわからず誰かに訊こうとして
「耳がきこえない」と言うと相手にびっくりされたり、
「手話ができないから」と言われて
立ち去られてしまった経験もあるとか。 

また、役所で「筆談対応可能」と
貼り紙がしてあっても
当の職員たちに周知されておらず、
「なんで?」という顔をされたことがある、
ということも聞かせてくれた。

「 耳がきこえない人とは
手話ができないと話ができない」と
一様に決めつけてしまうのは
あまりに早合点しすぎというもの。

紙に書いたり、スマホに文字を打ったり、
大きく口を開けてゆっくり話したり、
コミュニケーションがとれる方法は
考えればいくらでもある。

決して「特別扱い」というのではなく、
自然に「その人に合った配慮」ができる
世の中になれば、というのが
まつりさんの願いだ。